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2012年10月30日(火)更新

約束を守る、ということ


千年続く 会社をめざそう㊹
■約束を守る、ということ■

 

 
「やるだけやってみます」
 
この言葉を聞いて、皆さんはどうお感じになりますか。
「困難なことでも何とかしようとする前向きな気持ちを感じる」方もいらっしゃるでしょうし、
「うまくいかなかったときの逃げ場を作っているだけだ」と
捉えられた方もいるのではないかと思います。
 
同じ言葉なのに、これだけ正反対の捉え方をされてしまう。
何だか面白いですね。
 
なぜこれほどのギャップが生じるのか? 
私は「この言葉を口にしている人が誰かによって感じ方が変わる」ように思います。
 
前者の感じ方ができる相手は、約束を守る人、ないしは、
その約束を守るための努力と時間を惜しまないだろうと確信できる人。
逆に後者のように感じてしまうのは、約束を守らない人。いかがでしょうか?
 
以前、同じようなお話をした時、
「そんなんだったら、約束なんてしないほうがましだ!」と
真顔で答えた方がいらっしゃいました(苦笑)。
これは本末転倒ですね。
 
私は「約束は成長への片道切符」だと思います。

約束することはとても苦しい。約束しないですむならそのほうが楽。
でも、きちんと約束をし、その約束を果たした先には、
それ以前の自分とは比べ物にならないほど別人の成長した自分がいる。
その上、人からの信頼も自然についてくる。
 
要するに、約束をする・しないは“成長”に、
約束を守る・守らないは“信頼”に影響を及ぼす。

表にまとめると、こんな感じでしょうか?



 
「約束もしていないのに守る、守らないというのはおかしい」と
お感じになる方もいらっしゃると思いますが、
“約束”を“期待”と置き換えていただければ、
その意味はわかっていただけると思います。

ここも一つのポイントですが、約束はしていないけれども
人から期待されていることを認識している場合、
それは約束しているのと同じことだと思います。
 
ただ自ら覚悟をもって約束するか、
結果として約束したと同じことになるかでは、全くもって、雲泥の差ですが……。
 
いずれにしろ、約束することができる人は伸び、
約束を果たす人には自信と信頼が集まり、
約束をしない人は堕落する、そういうことだと思います。
 
一方で「人は鏡」だと言います。
また一番守らなければならないのは「自分との約束」だとも……。
 
自分の目に映る相手の問題ということよりも、
「自分は今、どのタイプになっているのか?」
と、相手という鏡に映った自分に問い掛けてみることが大切なのだと思います。
 
自戒を込めて・・・





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2012年10月16日(火)更新

肚を括ることのできる採用をする、ということ


千年続く 会社をめざそう㊸
■肚を括ることのできる採用をする、ということ■

 
 

前回に引き続き、私の採用責任者時代の失敗から学んだことを
お伝えしたいと思います。
 
採用活動を始めた最初の2~3年、何とも納得できない現象がありました。

それは、
 
「内定を出した途端に豹変する」
 
ということ。

内定をもらうまでは明るく、元気で、素直で、
二言目には「何でもやります!」。
 
その魅力に惹かれて内定を出すのですが、内定を出したとたん、
暗く、元気なく、自分のことしか考えず、
「○○は本当にやらなければならないのですか?」となってしまう。
当時は何人かに一人はこのような“豹変”する子がいました。
 
最初は「騙された」と、その内定者のせいにしていたのですが、
そのうちに、自分の面接方法に原因があるのではないかと考えるようになりました。
 
「私は○○をやっていて、そこで□□という成果を挙げることができました」
 
面接中、こんな話がよく出てきます。
それに対して当時の私は、
 
「それは凄いね。そういうことができるなら、
当社でやっている△△で力を発揮してもらえそうだね」
 
などと、その言葉を鵜呑みにし、一人悦に浸っていました。
それほど厳しいものではなかったのですが、
採用担当者としてのノルマもありましたので、
「これで一人確定!」という気持ちがあったことは否定できませんし、
応募者から「いい人と思われたい」という気持ちが
なかったとも言い切れません。
 
しかし実際には、

・「(自ら)やっていた」のではなく「(嫌々)やらされていた」
・「成果を挙げた」のは自分の力量や思いによるものではなく、他力によるものだった

などといった場合がある。
豹変する子の多くはそういうタイプで、
嘘とまでは言わないまでも、自力でないものを自力とし、
それが内定の理由になっていることを自覚する彼らは、
等しく内定後に“豹変”するのです。
 
このことに気づいてから、私は
「面接では“性悪説”。採用したら“性善説”」を心掛けています。
 
内定を出す前は両目を開けて長所も短所もじっくり見極める。
想像や思い込みではなく、確実に事実で裏を取る。
人は嘘をつくつもりではなくとも、
結果としてそれに等しいことをしてしまうことがある。
でも事実は裏切らない。
 
「なぜそうしようと思ったの?」「障害が生じた時あなたは何をしたの?」
「どうしてその苦難を乗り越えることができたの?」とどんどん詰める。
本当に“自力”によるものであればスラスラと答えられる。
少しでも事実ではなければ答えは詰まる、窮する、しどろもどろになる。
 
このように“性悪説”に立った問答をすることで
応募者の“素”の姿が顕かになり、
結果としてお互いの「ミスマッチ」は解消される、
そういうものだと思います。
 
また短所にも徹底的にスポットを当てる。
その子の長所・短所を十二分に知り尽くしたうえで、
「私はこの短所を認め許すことができるか、
ないしは責任を持って改めさせることができるか」で、
内定を出すか出さないかを判断する。
そういう姿勢が大切であることを学びました。
 
そしてこのような意思決定をしたとき、
彼・彼女をわが子のように育てていくことの
肚括りができるものだと思っています。



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