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2011年03月23日(水)更新

考える、ということ

千年続く 会社をめざそう⑧
■考える、ということ■



『「よい考え方をしろ」と言われますが、どういう考え方がよい考え方なのでしょうか?』

これは先日行った会社説明会の後、一人の学生から問われた内容です。その真剣な面持ちを見て、これは安易に答えてはいけないと思い、言葉を選びながら、次のような会話をしました。

私 「この世は全て対立、二律背反の世界だよね。親子、師弟、君臣、夫婦などなど。
もしそれぞれが自分の立場だけで物事を考えたらどうなると思う?」
学生「喧嘩が絶えないと思います。」
私 「そうだね。逆にどのように考えたら争いがなく、みんながハッピーになれると思う?」
学生「・・・相手の立場で物事を考えるとき・・・でしょうか?」
私 「そうだね。お互いが相手の立場で物事を考えることが出来たら、とってもハッピーな世界が待っていそうだね。」
学生「でもそうしたら、自分のやりたいことがやれなくなってしまうんじゃないでしょうか?何だか、ハッピーとは程遠いような・・・」
私 「たとえば、僕達の前においしい料理が並んでいるとするよね。でもお互いに自分の腕より長い箸を持たされていて、自分では食べることが出来ない。そのときに私が、おいしい料理を箸でつまんで、目の前にいるあなたに食べさせてあげたとしたら、あなたはどう思う。」
学生「とても嬉しいです。」
私 「そうだね。そしたらあなたは次に何をする?」
学生「・・・私も同じように箸でつまんで、亀井さんに食べてもらおうと思います・・・
   あっ!」
私 「あなたは、親子でいえば子の立場、師弟で言えば弟子の立場、君臣で言えば社員・部下の立場・・・だからこれから、「僕が親だったら」「僕が先生の立場なら」「僕が社長や上司だったとしたら」と考えてみてはどうだろう。それが最も身近な“よい考え方”だと思うよ。」

その後、「将来と過去なら将来のことを、肯定と否定なら肯定で、明暗なら明で・・・」などを列挙することで、“よい考え方”の感覚を掴んでもらいました。相談に来た時は、眉間に寄せていたしわがすっかり伸び切り、嬉々として帰っていきました。

この22年間、実に多くの会社と出会って来ましたが、「この会社の社員さんは幸せそうだなぁ」と感じる会社は、いずれも社員さんがこの感覚を持っていらっしゃいます。

一般社員は監督者の立場で、監督者になったら管理者の立場で、管理者なら役員の立場で、役員就任後は経営者の立場で常に考えている。この条件はどうも外せないようです。

では経営者は誰の立場で考えればよいのでしょうか?

そもそも「考える」とは、神還る(帰る、返る・・・)が語源だといわれています。神に還って考える、すなわち、大自然の法則、大宇宙の原理に基づいて考える。

まず経営者は、経営者の立場で考えてくれる社員がついてきてくれる自分になるために、神還って考え、自分を磨き続ける姿勢が大切だと思います。




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2011年03月08日(火)更新

会社を明るくする、ということ

千年続く 会社をめざそう⑦
■会社を明るくする、ということ■



多くの経営者の方がおっしゃっていますが、私も、
「人の上に立つ者は、真に明るさがないといけない」
と思います。

しかし実際には、いつも明るく、朗らかにふるまい続けるのは、意外と難しいもの。世の中はなかなか自分の思い通りにならない。辛いと感じることもある、悩むこともある、苛々することもある。「こんなに一生懸命やっているのに、何でだ!」と腹立たしいこともある。

ではそんな時、どうすればよいのでしょうか?

ある社長から教えていただいたことがあります。

「朝一番、誰よりも早く出社して“笑”という字を毛筆で書く。クレーム処理の後にも外で“笑”と書いてから会社に帰る。“笑”という字を書くと、自然に顔がほころんでくる。その流れで社員と顔を合わせる。すると職場が明るくなる」

思わず「なるほど!」と、唸ってしまいました。

私自身が実践していることがあります。それは苦しいこと、辛いことなど、あまり歓迎できない状況が発生したとき、まず「笑う」。意味なく笑顔を作る。それも目一杯。

そして、できれば声を出して、そういう状況でなければ心の中で「ありがとう」という。何度も何度も繰り返す。すると、いつの間にか辛さが和らいでいる。

そうなったらこっちのもの!一気に明るいことを考えるのです。

『プラス発想』という言葉があります。
人はある現象・出来事(刺激)に触れると、一定の感情(反応)が生まれます。例えば、「怒られる」(現象)と「腹が立つ」(反応)というもの。しかしこの感情は一様ではありません。まさに人それぞれ、十人十色。それはなぜか?

実はこの“現象”と“感情”の間には、“捉え方”というものが存在します。

「怒られる」(現象)→「お前だってやってないじゃないか!」(捉え方)→「腹が立つ」(感情)
「怒られる」(現象)→「こんなに一生懸命やっているのに・・・」(捉え方)→「悲しい」(感情)

などなど・・・。

『プラス発想』というのは、この“捉え方”を前向きにすることができる発想なのだと思います。たとえば・・・

 「私だって本当は怒りたくなんてない。きっとこの人も同じ気持ちのはずだ。それなのに私を怒ってくれる。私にも改めるところはある。そのことをこの人は嫌な思いをすることを省みず教えてくれた。私がより良くなるチャンスを与えていただけた」

と捉えれば、「ああ、なんてありがたいんだ!」(感情)となるもの。

倫理法人会では
「人は幸福に暮らしているから朗らかなのではなく、朗らかにしているから幸福な事情が次々に現われてくる」
「車にヘッドライトが点いているから行く先々が明るい。行くところがどこでも全て  明るくなる」
「己の気持ちが変わると、相手の態度ががらりと変わる。周りがくるりと変わる。仕事の手順・出来ぶりがすっかり変わる」
と学びます。

自らの立ち居振る舞いで周りを明るくする、常に心掛けていたいものです。



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