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2011年07月26日(火)更新

徹する、ということ

千年続く 会社をめざそう⑯
■徹する、ということ■


今月から少し業務の内容が変わりまして、
会計事務所様へ訪問する機会が増えてきました。

一口に会計事務所といっても、病医院経営のサポートに強い事務所、
建設業のノウハウに優れた事務所、相続にかかわる提案能力に秀でた事務所、
また徹底的なコストダウンを図り、どこよりも安い顧問料を実現している事務所など、実に多士済々。
それらの先生方とお話をしておりますと、非常に学ぶところが多い。
 
その中でも一番感じるのは、「これと信じたものに徹する」という姿勢の大切さです。
実際に業界内では何かに特化しようとしている事務所が多いのですが、
成功しておられる事務所はそれほど多くはない。
 
なかには、一時的には成功したように見えても、結局長続きしない、
という事務所もあるようです。
 
お客様から長期に亘ってご支持いただいている事務所とそうでない事務所、
同じ方向を目指しているのに、なぜこのような差が生まれるのか。
それは結局、徹することができているか否かにあるように思います。
 
このことは何も会計事務所のみならず、
どんな業界でも同じであろうと思います。
 
では、どうしたら徹することができるようになるのでしょうか?
これまでお会いしてきた経営者の方々を思い起こしてみた時、
いくつかの共通点があるように思います。
 
まず第一に、生い立ちや出会いの中に、それに徹するだけの明確な理由が見出せる、ということです。
その意味において、創業家承継が最も明確な理由であるといえるでしょう。

少なくとも思い付きだったり、「他でうまくいっているから」
といった程度のものではやはりだめなようです。

意外に後付のような場合もあるのですが、それでも徹する段階においては、
徹するだけの、心からの叫びともいえるような理由が明確になっていなければなりません。
 
第二に、それに徹することが、結果として現経営者のそれまでの人生で
大切だと感じていることの実践につながっている、
要するに徹することそのものがよき人生を送るための実践である、
という状態になっていることです。

こうなりますと、徹することに拍車がかかります。
それは自然とそうなる場合もありますが、自ら見出そうとする姿勢が必要だと思います。
 
第三に、他を捨てている、ということです。
少なくともある一定レベルに達するまでは、
一事に徹する、そういう姿勢が必要なようです。

いろんな選択肢を持つことは大切ですが、
こうと決めたらそれ以外は捨てる、選ぶのではなく捨てる。
選ぶから迷う、捨てたら徹するしかない。
そういう不退転の心情が、成功の秘訣であるようです。
 
第四に、次代、次々代にまでつなごうとされている。
「自分の代だけで良い」などと考えられている方は、
どうもどこかで落とし穴があるようです。

気の緩み、「これくらいはいいか」などといった甘えが生じてしまう。
そして自分の代だけのことだからその甘えを止められない。
真に徹することができている経営者は、次代、次々代まで見据えている、そう思います。
 
第五に、これが一番大切なことかもしれませんが、
それに徹することによって喜ぶ人があることを最高の喜びとしている。

お客様であったり、社員さんやその家族だったり、
仕入先や協力会社の方々であったり、行政や地域住民であったり・・・
自社がそれに徹することによって喜ぶ人たちの顔を最高のご褒美とできる、
そういう方が、徹することができる経営者の特徴であるようです。
 
いずれにしろ、結局、徹する者が勝つ、そういうことだと思います。




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2011年07月13日(水)更新

たった一言で人生は変わる、ということ

千年続く 会社をめざそう⑮
■たった一言で人生は変わる、ということ■


人生は、たった一言(ひとこと)で大転換をするものだと
つくづく思います。よくも悪くも・・・
 
先日も、あるお客様のところに訪問したところ、
以前は暗くて、だらだらしていて、覇気がないように見えていたA君が、
見違えるように明るく、キビキビ、生き生きしていて、びっくりしました。
 
彼の上司に尋ねたところ、ある取引先の役員が彼の作業を見て、
「君には天性のものがある」と言われて激変したのだとか。
 
「そんなことなら、いくらでも言ってやるのに・・・ねえ」と苦笑いする上司。
「でも俺ではだめだったんだろうなぁ」とのこと。
 
前回も紹介した森信三先生の言葉。
 
「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。
しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎない時に」
 
A君にとってその役員の方は、まさに「必ず逢うべき人」であったのでしょう。
そして彼はそれを逃さなかった。
 
しかし、実はこの言葉には続きがあります。
 
「ただし内に求める心無くば、縁は生ぜず」
 
人間には『捉え方』というものがあります。
たとえば「怒られた」という現象が生じた時、
「俺はちゃんとやっているのに、どうしてわからないんだ!」とか
「あんただってできていないじゃないか!」と捉えたら、腹が立つ。
でも「この上司は、本当は言いたくないことを、私のことを思って言ってくれた」と捉えたら、
「ありがとうございます!」となる。
 『捉え方』によって、180度答えは変わってくるのです。
 
A君だって、その役員さんの言葉を「どうせ口から出まかせでしょ?」とか
「そうやって頑張らせようったって、そうはいかないよ!」などと捉えてしまったら、
激変どころか、余計に殻に閉じこもってしまったことでしょう。
 
でも彼は激変した。

それにはその上司の日ごろからの言葉掛けがあったのだと思います。
その役員の言葉を、素直に、前向きに、好意的に捉えることができたベースを作ったのは、
「内に求める心」を育て上げたのは、その上司に他ならないと思います。
 
「あなたの日頃の指導の賜物ですよ」
 
という私の返答を彼がどう捉えたか・・・それは数年後に見てみたいと思います。
 
いずれにしろ、人生を大好転させるような一言に出会える人・・・
いや、たった一言から人生を大好転させることができる人は、幸せだと思います。






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