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2011年08月26日(金)更新

本当に売れる、ということ

千年続く 会社をめざそう⑱
■本当に売れる、ということ■



よい商品が売れる商品とは限りません。
これはみなさんも実感されているところではないでしょうか。
ではいったい、売れる商品とはどのような商品なのでしょうか?
 
たまたま「売れちゃった」のも、「売れる」の一部でしょう。
でもそれではここでいう「売れる」というニュアンスとは違っています。
 
やはり売れるとは、二度目も、三度目も、
当社の商品・サービスを選んで買っていただく、
これこそが本来の「売れる」という感覚に近い。
そう考えると、「売れる」という感覚よりも、
「買っていただける」という感じが近いですね。
 
「俺はあいつを買ってるんだ」の「買っていただける」・・・
その状態を実現することで売れ続けることができる。
これこそが本当の「売れた」状態であるように思います。
 
それではそのような商品・サービスとは
どのようなものなのでしょうか?
 
第一に、「手にした人にマッチしている」
第二に、「期待を超える品質である」
第三に、「今後も品質を維持してくれるという信頼感がある」
 
いずれも一度は使ってもらわなければわかってもらえないことばかりですね。
 
ところが中堅・中小企業においては、
この「一度は使ってもらう」ことがなかなかに難しい。

それはなぜでしょうか? 
もちろん、会社の規模に対する信頼感の問題もあるのでしょうが、
それよりも大きな要因があると思います。
 
経験則ですが、中小企業においては
商品説明が機能説明になっているケースが多いように感じます。
「こんな素晴らしい材料を使っている」とか「こんな精密な細工が施されている」とか・・・。
 
しかし、お客様が求めているものはそこではありません。
「その機能によって私のどんな欲求を満たしてくれるのか」──。
そこがはっきりしなければ、まず手に取っていただけない、そういうことだと思います。
「手にした人にマッチしている」ことを、
手に取る前にわかってもらわなければ手にしてさえももらえない、
そのことをよく理解する必要があると思います。
 
第二の視点については、私はそれほど心配していません。
中堅・中小企業の商品・サービスの品質は、大変優れていると思っています。
とくにこの日本実業出版社さんの経営者会報ブログを
読まれているような方が作り出される商品・サービスは、
疑う余地がないように思います。

それだけものつくり、サービス改善に真摯に取り組んでおられるからです。
 
最も大切なのが、第三の視点です。
特に平時であればそれほど心配する必要はありませんが、
世の中、いつも順風満帆とは限りません。
そのまさかの時に、人の本性は現れる。
その時の姿勢が、本当の信頼を得る機会でもあることを
認識しておく必要があるように思います。
 
そのような特殊なケースでなくとも、会社に対する信頼が、
お買い求めいただき続ける要因であることを忘れてはならないと思います。
 
さらにいえば、会社に対する信頼とは、経営者に対するそれにほかなりません。
だからこそ私たち経営者は、常に自分自身を律し、磨き、
高め続けなければならないのだと思います。





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2011年08月12日(金)更新

事実の中に真実を見る、ということ

千年続く 会社をめざそう⑰
■事実の中に真実を見る、ということ■


「目に映る事実が、そのものごとの真実を
現わしているとは限らないんですね。」
 
ある社員との面談でのこと。
 
「ついこの前までは、Aさん(彼の前の職場の上司)の
私に対する指導が、いじめにしか思えませんでした。」
 
と話し始めた彼は、今年の配置転換によって、
入社以来の部署を離れることになりました。

Aさんは非常に厳しい人間で、言うことも実に細かい。
それは社内的にも有名で、中には「あの人の下には行きたくない」と
公然と口にする者がいるほど。
彼はそういう上司の下で3年の歳月を過ごしてきました。
 
その彼が今年に入って配属された部署は、全く正反対な部署。
よく言えば自主性を重んじた自由な職場。ありていに言えば放任主義。
あまりの違いに、当初は戸惑いを超えて、恐怖さえ感じたとのこと。

頑丈な柵に覆われた窮屈ながらも安全な場所から、
どこに天敵がいるともわからぬサバンナに放り出されたような感覚だったのだとか……。
 
3か月ほど経って、やっと周りの状況を冷静に見ることができるようになってきたとき、
初めて自分がどれだけ恵まれていたかに気付いたとのこと。
 
「Aさんの下にいなかったら、僕のようなルーズな人間は
ダメになっていたと思います」
 
彼からの相談は、彼が新たに見出した
「新旧両方の職場のよい点を活かして、よりよい職場を作りたい」という目標を、
具体的にどのようにかなえていったらよいか、というものでした。

「それは僕にしかできないことですから」と口にする彼の覚悟に
頼もしさを感じました。
 
いじめにしか思えなかった上司の指導が、自分がその立場にたったとき、
いかにありがたく、いかに稀有なことであったかに気付くことがあります。

実は私自身がそうでした。
残念ながら私自身は、その真実に気付いたときに、
もうその人はおられませんでしたが……。
 
目の前の事実を好意的に受け止めてみる。特に二十代においては、
そういう姿勢が大切だと思います。
 
一方で、上司の方も相当の覚悟を以て望まなければなりません。
特に新卒の場合、初めて付く上司の指導が、生涯を通じて標準になるもの。
それだけ責任が重い。
 
お互いがそのような姿勢で臨んだとき、両者の関係は、
信頼に満ち溢れた、そして相互に切磋琢磨し合える
素晴らしいものになるのだと思います。



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