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2012年03月27日(火)更新

本物に触れる、ということ

千年続く 会社をめざそう㉛
■本物に触れる、ということ■



 
先日、ちょっとした贅沢をしてきました。
九州一といわれる寿司屋さんで仲間と食事をしてきたのです。
 
はじめのうちは、「ネタもよいけど、値段もよい」と脅されていたこともあって、
値札のないお品書きとネタケースを交互にを睨みつけ、
眉間に皺を寄せながら、おそるおそる注文をしていました。

しかし、十数分経ったあたりから「もういいや!」と、
お店そのものを楽しむことに決めました。
それほど「値段以上の満足が得られるだろう」との確信が得られたからです。
 
やはり、値段が高くても人気があるものには、
そうなっているだけの理由があります。
しかし残念ながらその本質を言葉で表現するのは難しい。
旨いものは旨い、よいものはよい、としかいえないものです。
だから実際に体感するしかありません。
 
そして経営者は、その本質を探究する努力を惜しんではならないと思います。
よいもの、本物に触れることによってその意味が五感から伝わり、
暗黙知によって身につく、否、それによってしか、
身につけることはできないと思います。
 
また、よいものに触れることは、それに似合う自分になろうという
強い意志・意欲を醸成します。
その意味においても高くてもよいものに触れる価値は高い。
 
逆に言えば、よくないものに触れ続けると、よくない人間になる、
ということ。お互いに気を付けなければなりません。
 
『ニュートップリーダー』酒井編集長によれば、
かのメーカーズシャツ鎌倉の創業者・貞末良雄氏は
「経営者はグレートコンシューマたれ」が信念だとお聞きしましたが、
私も全く同感です。
 
もちろん、奢侈(しゃし:度を過ぎて贅沢なこと。身分不相応に金を費やすこと)
までいってはいけません。何事も行き過ぎはよくない。
でも、心を豊かにする贅沢さは必要。
その意味において「嗜み(たしなみ)」と言ったほうがしっくりくるかもしれません。
 
以前このような話をしたところ、「少ない予算の中ではずれのないようにしたい」と、
その見極め方を尋ねられたことがあります。なかなか難しい質問です。
 
私はその時、次のように答えました。
 
「内面的な魅力があり憧れることができる人、こういう人になりたいと思える人が触れるもの、
ないしは、信頼できる方から『これはいいから』と勧められたもの」と。
 
また、連れて行ってもらっているうちはダメ。
わかったつもりになるだけで、その実、何も得られない。
もちろん紹介があれば、入口が違うのはたしかです。
いきなり奥の院から参拝させていただくようなもの。
本質に近づくスピードが格段に違ってきます。

でも、本質の扉は、自分の「あし」でのれんをくぐらないと開けられない。
 
これからも自分の「あし」を使って、
ほどよい嗜みを身につけていきたいと思います。
内面的に魅力ある人間になれるように・・・。




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2012年03月13日(火)更新

クレームに応える、ということ

千年続く 会社をめざそう㉚
■クレームに応える、ということ■
 

あるお客様を初めてお訪ねしたときのこと。
2年前からお取引させていただいているものの、
遠方であることもあり、私自身はなかなかお邪魔できずにおりました。
 
アポイントを入れさせていただいた時には、
「うちのような小さなところに来ていただく必要はありませんよ」と
おっしゃっていたのですが、初対面の挨拶もそこそこに、
いろいろなお話しをしてくださいました。
それは通常「クレーム」と言われる内容でした。
 
話され方は非常に穏やかで、言葉も柔らかいものでしたが、
その内容はかなり厳しいものでした。
次々に出てくるその内容に、
「そこまで思ってらっしゃったのか」と、
とても申し訳なく耳を傾けていました。
 
その途中、少しほろ苦い経験を思い起こしていました。
 
私がまだ入社間もない鼻っ柱の強さだけが取り柄だった頃、
あるお客様からお叱りを頂戴したのですが、
その口ぶり、容赦ない言葉に「逆ギレ」し、
大喧嘩して帰ってきてしまったことがありました。
 
結果としては、その後上司が訪問し、
平身低頭お詫びをしてもらって事なきを得たのですが、
当然にして大目玉を喰らいました。
 
その時、その上司から教えていただいたのが、クレームへの対し方でした。
 
・クレームが発生したら、何をおいてでも飛んで行け。それで7割は解決する。
・ 相手の話は、どれだけ理不尽だと感じたとしても遮るな。とにかく聴いて、聴いて、聴き倒せ。
・否定はするな。先方がそう感じていることは事実であり、変えることはできない。  
・話が終わっても、「他にありませんか?」とさらに突っ込め。「もうこれ以上出すものはない」とスッキリされたら、その時点で9割は解決している。
・その上で改善策を示す。できないことはできないと言えばよい。大切なのはその姿勢そのものなのだから。
 
以来クレーム発生時には、どれだけ腹が立っても、悔しくても、
この教えを実践しました。
結果は……上司の正しさを実証するばかりでした。
 
大チョンボで、大クレームを起こしたある卸売業のお客様にいたっては、
訴えられても仕方がないと腹を括ってハンドルを握って車を飛ばし、
通常30分はかかるところを電話が入ってから15分で飛んで行ったことを
「営業の鑑だ」と逆に褒められ、
それまで以上のご依頼をいただくまでになりました。決して褒められることではありませんが(苦笑)。
 
一方で、役職が上がっていくたびに、
直接クレームを言われることが少なくなったように感じます。
 
これは決して「要求要望」がなくなっているのではなく、言いにくくなっているのだろうと思います。
 
お話をお聴きしながら、ほかのお客様に対して申し訳ない気持ちが湧いてきました。
 
そして、口にすることそのものが決して気分がよいわけがないのに、
こうしてお伝えいただけるお客様に、
本当にありがたいと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 
1時間ほど正直なお気持ちをお聴きした後、
「いろいろ言ったけど、これからもよろしくお願いします」と
笑顔で締め括っていただくことができました。
またもや、かつての上司の言葉の正しさが実証された一幕でした。




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ボードメンバープロフィール

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かめい ひでたか

1965年岐阜県生まれ。89年名南コンサルティングネットワーク入社。2001年より取締役。後継者育成や経営計画立案を得意分野とする。愛知近県の後継者を対象にした勉強会を各地で主宰するなど、「事業承継」をライフワークにしている。月刊ニュートップリーダー(L.)連載『事業承継の王道』など、執筆・講演活動も精力的に行なう。

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