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2011年12月22日(木)更新

昇り龍に乗る、ということ

千年続く 会社をめざそう㉕
■ 昇り龍に乗る、ということ■
 
 
昨年12月からスタートしたこのブログも、今年最後となりました。
1年間、本当にありがとうございました。
 
さて来年は辰年です。龍のごとく、大きく羽ばたきたいものです。
 
先日、ある方から「龍にも昇り龍もいれば下り龍もいる」との話を聴きました。
そう言われればそうですね。
「昇り龍に乗れればよいけれど、下り龍に乗ったら大変だ」とも・・・
 
そのお話をお聴きした時は納得した気でいましたが、
時間が経つにつれて「いったい、昇り龍と下り龍の違いってなんだろう?」と
疑問が湧いてきました。
 
いろいろ考えてみたのですが、昇り龍と下り龍を
成長企業とそうでない企業にたとえ、その差を考えるなかで、
自分なりに答えを出してみました。
 
昇り龍は上を見ている。下り龍は下を見ている。
部下や社員の欠点や不足が気になるのは下り龍。
夢やビジョンでウキウキするのが昇り龍。
 
いかがでしょうか?
 
年末はやはり、翌年のビジョンを考えるよい機会だと思います。
昇り龍に乗るために、是非ウキウキ・ワクワク・ドキドキできるほどの
素晴らしいビジョンを描いていただきたいと思います。
 
一方で、事業承継においては、
この1年を振り返りつつ、
事業承継計画の見直しをするよい機会でもあります。
 
権限が経営者に集中している中堅中小企業において最大のリスクは、
経営者が突然采配を振るえなくなることにあります。
そして、こればかりは予測さえできません。
 
よって経営者は、自分にいま何かあったら誰に、
○年後だったら誰に、と常に後継者を明確にしておかなければなりません。

私が経営者の方々に年末必ずお伝えするのも、
「年に1回はこれを明確にし、新年早々、その指名した方に肚括りをするようにお話ししてください」
ということです。
 
この年末年始は、ビジョンと承継計画の見直しをする
よい機会としていただければ幸いです。
 
来年が、皆様方にとって素晴らしい年であることを
心よりお祈り申し上げます。
 




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2011年12月08日(木)更新

2年ワンセットで評価する、ということ

千年続く 会社をめざそう㉔
■ 2年ワンセットで評価する、ということ■
 
 
先日、ある方から賞与に関する相談がありました。
その内容は次のようなものでした。
 
「今年はA君が活躍したが、昨年ぼろぼろで、今年何とか前年をカバー
した、という感じ。B君は昨年前半低迷したが、後半凄く成長した。今
年もやってくれるだろうと、昨年の評価は少し抑えた。今年前半は期待
に応えてくれたが、後半伸び悩んだ。彼らをどう評価したらよいか?」
 
実はこの問題、営業会社ではよくある話。
このような場合、私は「2年ワンセットで考えられたらどうですか?」と
アドバイスします。それはなぜか?
 
まずは賞与の意味について考えてみたいと思います。
 
そもそも人事評価には会社同様、損益計算書と貸借対照表があります。
 
損益計算書とは「ある一定期間の損益」を表しますから、
これを人事に置き直しますと、一定期間の成果や取組み状況などが評価対象となる、
ということになります。
通常は半期ごとに評価を実施し、結果はもっぱら賞与に反映することになります。
 
貸借対照表とは「ある時点における財産価値」を表しますから、
人事では基本的な能力の高さが評価の対象になります。
あらかじめ会社が求める期待人材像を明確化し、いかに近づいているかを評価。
通常は春先に評価を実施し、評価結果はもっぱら昇給および昇格に反映させます。
 
今回のご相談はまさしく前者のもので、なぜ今回のような悩みが生じるかというと、
「期間」と「成果」にズレがあるからです。

ならばこの「期間」と「成果」のズレがなくなれば、
悩みは解決する、ということになります。
 
営業、特に受注生産や請負などといった一品物を扱うような会社や部門では、
半期ないしは1年という短期間では納得感のある評価は難しいもの。
逆に短期間の成果で評価してしまいますと、さまざまな弊害も出てきます。
 
現に単年度評価をしている営業会社で、決算前に受注を調整したり、
好調の年に無理して受注してお客様にご迷惑をかける、
といったケースも見受けられます。これだけは避けたいもの。
 
賞与は通常、半期の業績をみて考えますが、このような場合は、直前1年を通算して考える、
たとえば、今年の12月の評価であれば、昨年1月から今年の12月までの業績を、
来年の6月の評価であれば、昨年の7月から来年の6月までの業績を評価の対象とする。
そうすることで評価もストレスなく行われるのではないでしょうか。
 
この期間がどれくらいが妥当か、
それは扱う商品や会社の体制によって考える必要があります。
 
今回の相談者の場合も、話の内容から
「結局2年ワンセットで考えられている」ことは明白であり、
私はそれを後押ししただけです。

社員一人ひとりの顔が見えている中小企業では、
「実はもう決めている」その腹づもりを起点に考えていただければ
よいのではないかと思います。


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2011年11月22日(火)更新

生かされている、ということ

千年続く 会社をめざそう㉓
■ 生かされている、ということ■
 
 
先日、ある方から、
「百発百中って、実際にありえると思いますか?」
と問われました。

「難しいでしょうね」と答えた私にその方は、
「実はあり得るんです」と微笑みながら、
その秘訣を教えてくださいました。それは……
 
「弓を射ってから、的を描けばいいんです」
 
狐につままれたような気分になりましたが、たしかにそれなら百発百中。
でも何だか釈然としませんね。
 
その方は、私の心を見透かしたように、次のように続けられました。
 
「人生も本来、百発百中なんですよ」
 
「当初自分が目指しているものがあるとしますね。ところがその通りには
いかなかった。でも必ずそこから学ぶことがあるものです」
 
「それが分かった人にとっては、実はそちらの方が本来の的だった」
 
「それを手に入れるために当初目指していたものがあり、そして必然に失
敗した。だから学べた。ということは、その失敗は本当に手に入れるべき
ものを手に入れるための失敗であって目に見えないものが指示した真の的
だった、ということなんです」
 
「自力のみで生きている人はここに気づくことができません。失敗は失敗
でしかない。そういう人は、結局失敗からは何も学べず、あの時、ああし
ておけばよかった、こうしておけばよかったと、後悔しか残らない。悲し
いですね」
 
たしかにその通りです。
大事なのは、他力で生きていることに気づくこと。
よく考えれば、この心臓も、この肺も、この胃腸も、どれも
私の意思通りに動いているものはありません。
勝手に動いてくれています。要するに自分の体でさえも他力。
 
他力で生かされていることに気づいた時、
人はあらゆることから学ぶことができるようになります。
だから苦難を恐れない。失敗を怖がらない。
なぜならそこに得るべき的があることを知っているからです。
 
人は失敗からしか学べません。
でもそれは、他力で生きていることを受け入れた者だけが得られる学び、
なのだと思います。
 
さらに話は発展します。
 
「他力で生かされていることに気づいた人は、そのことに感謝し、報恩の
行動を取り始める。人のために生きようとする。自ら他力になろうとする
んですね」
 
「他力が他力を生み出して増幅する。まさに、他力スパイラルが起こりま
す。ここに人類発展の秘訣があるんだと思います」
 
「こういう考えかたは、この国には元々あったんだと思います。明治維新
で否定され、敗戦で抹殺されてしまいましたけどね……」
 
「結局自力で生きるということは、自分の力の及ぶ狭い範囲でしか責任を
持とうとしないことに等しい。そういう人が増えてしまった」
 
そして最後に、次のように結ばれました。
 
「私たちの行動で、世の中を変えていきましょう!
 
私は大きく頷き、実践を誓いました。





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2011年11月08日(火)更新

行動で社員の心に火をつける、ということ

千年続く 会社をめざそう㉒
■行動で社員の心に火をつける、ということ■

 
Kさんは36歳。昨年4月、勤めていた商社を円満退職し、
父親が経営する会社に入りました。
 
商社では32歳で課長に抜擢されるなど異例の待遇で、
それこそ鳴り物入りでの入社でした。
「他社での経験など意味がない。お手並み拝見と行きますか?」
といった、うがった見方をする社員もいたようです。
 
「全く継ぐ予定がなかった」というKさん。
勤めていた商社とは畑違いの製造業、
「一からの出直し」という気持ちでみっちり現場で汗を流されました。
 
現場に入ってまず気づいたのは、
「汚い」「暗い」「だらしない」職場環境。
 
しかし、自分には何かを言えるだけのものがまだない。
「まずは自分がモノを言えるだけの人間になろう」と心に誓ったそうです。
 
誰よりも早く出社し、出勤してくる社員に大きな明るい声で
「おはようございます」、
わからないことは素直に教えを乞い、
「宜しくお願いします」「はい!」「ありがとうございました」
と明るく受け答え、仕事が終われば、
最後まで残って機械をピカピカに磨いて帰る。
 
「商社のエリート」とは思えないその行動に、社員は最初は戸惑い、
「何か裏があるんじゃないか」とか「メッキはすぐにはがれるさ」といった噂話が起こるほど。
 
ところが、1か月経っても、2か月経っても
その立ち居振る舞いは変わらない。
 
3か月目に入ってから、徐々に雰囲気が変わってきたのだそうです。
ぎこちないながらも、Kさんが声を掛ける前に挨拶したり、
一緒に掃除を始める社員がポツリポツリと出て来た。
そして1年半経過した今では、
見違えるほどの雰囲気になったとのこと。
 
私は、最初に掃除の手伝いをし始めたという
S君にその理由を尋ねてみました。
 
「正直、最初は『商社のエリートに何ができる』って感じ
でした。『親の七光りかよ』って。俺、たたき上げだから、
そういうのって大っ嫌いだった。できないところを見つけ
て、こきおろしてやろうとさえ思ってた」
 
「ところが思い描いていた人とは全然違った。素直で、明
るくって、何でも一生懸命……。自分もこんな人になりた
いな、って素直に思えた。そう思ったら、雑巾を手にして
ました(笑)」
 
実はS君が一番Kさんに反発心を持っていたのだそうです。
お父様も一番心配していた人材だったとか。
でも「味方につけたら最高の人材」だとも……。
 
自らの行動で火を点ける。
その行動が正しくて、魅力的ならば、火は灯り、燃え盛る。
燃え盛るまで、行動し続ける。
そういう姿勢が必要なのだと思います。
 



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2011年10月12日(水)更新

任せ切る、ということ

千年続く 会社をめざそう㉑
■任せ切る、ということ■
 
 
今までのお客様に、今までの商品・サービスを、
今までのやり方で商いをしていて「閉塞感を感じている」──
どうも最近、そういう方が増えてきているように思います。
 
このようなときにはやはり、今までにないお客様に、
今までにない商品・サービスを、今までにないやり方で
提供していくことを考えていかなければなりません。
 
もちろん何でもよいわけではなく、
成長性や収益性の高い分野に属する方向でなければなりません。

しかし実際は、なかなか新しいことに着手できない人が多いもの。
それはなぜでしょうか?
 
「やりたいと思っているんだけど、目の前の仕事に追われて……」
「これが解決したら、と思っているんだけど、なかなか成果が上がらなくて」
 
何か新しいことをやりたいと願うなら、
その手にギュッと握りこんでいるこだわりを一つ捨てなければいけません。
人には365日24時間しか与えられていないのです。
 
経営者の優秀さとは、属人的な能力の良し悪し、高低ではなく、
今自分自身が何をなすべきかを見極め、
そのことに精一杯の努力と時間を割いているかどうかにあります。

なすべきことの選択を間違える、ないしはわかっていながらやらないとしたら、
どんどん成功から遠のきます。
 
事業に閉塞感を感じたら、後生大事に握り込んだ、
なすべきことを制約しているその何ものかを
手放す時が来ているのだという認識が必要です。
 
常に新たなことにチャレンジし、成長し続けている人とは、
やるべき時には徹底してこだわり、
自らの役割ではないと見極めたら、
そのこだわりを捨てる、ないしは誰かに委ねることが得意な人だと思います。
 
そういう人がおそらく実践している、
部下に任せる時のポイントをお話ししておきましょう。
 
人に何かを任せたいと思うならば「先入後出法」でなければなりません。
「先入後出法」とは、やりたいことを先にやり始めてしまって、
二進も三進もいかなくなったその時、
「エイヤー!」と目をつぶって人に任す、そういう任せ方を指します。
 
逆に「先出後入法」は厳禁です。
「まずこの仕事を彼に任せて、彼ができるようになったらこの仕事を始めよう」で
うまくいく例はありません。
 
「先出後入法」の人は、
「君がこれをできるようになってくれさえすれば、
私はこの仕事に取り組むことができる。頼むよ」
と仕事を任せる。ところがなかなかスムーズには引継ぎができない。
 
1か月、2か月と経ってくるとイライラがつのり、3か月もすると
「もういい。君には失望した。俺がやる!」
などといって、手元に戻してしまいます。
 
なぜこんなことが起こるのでしょうか? 
それは任せた側が暇になってしまうからです。
 
よくよく考えてみれば、自分自身も
その仕事を始めた時はそれほどスムーズには出来なかったはず。
それをすっかり忘れてしまい、
精通している自分と比較してイライラする。
なんだかおかしな話です。
 
「先入後出法」ならば、こんなことは起こりません。
いつも新しい仕事に目一杯で、とてもその仕事に手を出す時間などないからです。
仮にスムーズにいかなかったとしても任せるしかない。
口は出せても手は出せない。だから任せる他にない……。
 
「先出後入法」では、部下に対する信頼と部下の自信、
そして「任せる」と言っておきながら任せ切ることができなかったことによって
部下からの信頼が失われていきます。
 
「先入後出法」ならば、最後まで任せきってくれたあなた自身に対する部下からの信頼と感謝、
そして仕事をやり遂げてくれた部下への信頼と感謝が生まれます。
 
「先入後出法」で、今なすべきことに
精一杯の努力と時間を割きましょう。
 



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