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2011年11月08日(火)更新

行動で社員の心に火をつける、ということ

千年続く 会社をめざそう㉒
■行動で社員の心に火をつける、ということ■

 
Kさんは36歳。昨年4月、勤めていた商社を円満退職し、
父親が経営する会社に入りました。
 
商社では32歳で課長に抜擢されるなど異例の待遇で、
それこそ鳴り物入りでの入社でした。
「他社での経験など意味がない。お手並み拝見と行きますか?」
といった、うがった見方をする社員もいたようです。
 
「全く継ぐ予定がなかった」というKさん。
勤めていた商社とは畑違いの製造業、
「一からの出直し」という気持ちでみっちり現場で汗を流されました。
 
現場に入ってまず気づいたのは、
「汚い」「暗い」「だらしない」職場環境。
 
しかし、自分には何かを言えるだけのものがまだない。
「まずは自分がモノを言えるだけの人間になろう」と心に誓ったそうです。
 
誰よりも早く出社し、出勤してくる社員に大きな明るい声で
「おはようございます」、
わからないことは素直に教えを乞い、
「宜しくお願いします」「はい!」「ありがとうございました」
と明るく受け答え、仕事が終われば、
最後まで残って機械をピカピカに磨いて帰る。
 
「商社のエリート」とは思えないその行動に、社員は最初は戸惑い、
「何か裏があるんじゃないか」とか「メッキはすぐにはがれるさ」といった噂話が起こるほど。
 
ところが、1か月経っても、2か月経っても
その立ち居振る舞いは変わらない。
 
3か月目に入ってから、徐々に雰囲気が変わってきたのだそうです。
ぎこちないながらも、Kさんが声を掛ける前に挨拶したり、
一緒に掃除を始める社員がポツリポツリと出て来た。
そして1年半経過した今では、
見違えるほどの雰囲気になったとのこと。
 
私は、最初に掃除の手伝いをし始めたという
S君にその理由を尋ねてみました。
 
「正直、最初は『商社のエリートに何ができる』って感じ
でした。『親の七光りかよ』って。俺、たたき上げだから、
そういうのって大っ嫌いだった。できないところを見つけ
て、こきおろしてやろうとさえ思ってた」
 
「ところが思い描いていた人とは全然違った。素直で、明
るくって、何でも一生懸命……。自分もこんな人になりた
いな、って素直に思えた。そう思ったら、雑巾を手にして
ました(笑)」
 
実はS君が一番Kさんに反発心を持っていたのだそうです。
お父様も一番心配していた人材だったとか。
でも「味方につけたら最高の人材」だとも……。
 
自らの行動で火を点ける。
その行動が正しくて、魅力的ならば、火は灯り、燃え盛る。
燃え盛るまで、行動し続ける。
そういう姿勢が必要なのだと思います。
 



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