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2012年05月23日(水)更新

「心の中の鬼」に打ち克つ、ということ

千年続く 会社をめざそう㉟
■「心の中の鬼」に打ち克つ、ということ■

 
 

天は時に人を試すようなことをなさいます。
人はそれを「苦難」とか「窮地」などと呼びます。
 
そして人は窮地に陥ったとき、それまで隠れていた醜い、
卑しい、惨い、はしたない……認めたくない自分の本性を知ることがあります。
 
私などはそのたびに、そんな自分がいるのかと恐ろしく、
情けなく、自虐の念にさいなまれることになります。
 
先日、そのような思いを、尊敬する、今年82歳になられる
ある企業の会長さんにお話ししたところ、

「私なんて、今でも自虐の念の繰り返し。孫のようなあなたが
そうであるのは当たり前です」

と大笑いされ、少し安堵させてもらいました。
 
しかしそのすぐ後で、
「心の中に巣くうその鬼を、表に出してはいけませんよ」と
私をたしなめられ、次のように続けられました。
 
「人間は、他の生き物のように自分の外には天敵はいません。
人間の天敵は、自分の心に巣食うのです。その天敵を外に出し
たら身の破滅。人からはこちらの心は見えません。人が見てい
るのは己の行動。その窮地に陥った時の行動が、結局はその人
の評価を決めます。鬼の心そのままに行動を取ったら、一度に
信頼を失い、身を滅ぼすのです。それまでどんなに厚い信頼を
受けていた人でも、一瞬にしてすべてを失う。私はそういう人
たちをごまんと見てきました」
 
そして、次のようにまとめられました。
 
「心の中の鬼はどうしようもない。ただその鬼を自覚した時、
それに打ち克つ行動を取る。その対応が己の器と他からの信頼
を創るのです」
 
その後、「いやいや偉そうなことを……」と頭をかきながら、
「私はまだ一度も“完勝”したことがない。できておれば、
もっと大きな会社にできとったのになぁ」と、
はにかみながらおっしゃるその好々爺の笑みを拝顔しながら、
皺の数ほどの克己の姿を想像させていただきました。
 
また一つ、大きな気づきを得させていただくことができました。



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