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任せ切る、ということ

投稿日時:2011/10/12(水) 14:15rss

千年続く 会社をめざそう㉑
■任せ切る、ということ■
 
 
今までのお客様に、今までの商品・サービスを、
今までのやり方で商いをしていて「閉塞感を感じている」──
どうも最近、そういう方が増えてきているように思います。
 
このようなときにはやはり、今までにないお客様に、
今までにない商品・サービスを、今までにないやり方で
提供していくことを考えていかなければなりません。
 
もちろん何でもよいわけではなく、
成長性や収益性の高い分野に属する方向でなければなりません。

しかし実際は、なかなか新しいことに着手できない人が多いもの。
それはなぜでしょうか?
 
「やりたいと思っているんだけど、目の前の仕事に追われて……」
「これが解決したら、と思っているんだけど、なかなか成果が上がらなくて」
 
何か新しいことをやりたいと願うなら、
その手にギュッと握りこんでいるこだわりを一つ捨てなければいけません。
人には365日24時間しか与えられていないのです。
 
経営者の優秀さとは、属人的な能力の良し悪し、高低ではなく、
今自分自身が何をなすべきかを見極め、
そのことに精一杯の努力と時間を割いているかどうかにあります。

なすべきことの選択を間違える、ないしはわかっていながらやらないとしたら、
どんどん成功から遠のきます。
 
事業に閉塞感を感じたら、後生大事に握り込んだ、
なすべきことを制約しているその何ものかを
手放す時が来ているのだという認識が必要です。
 
常に新たなことにチャレンジし、成長し続けている人とは、
やるべき時には徹底してこだわり、
自らの役割ではないと見極めたら、
そのこだわりを捨てる、ないしは誰かに委ねることが得意な人だと思います。
 
そういう人がおそらく実践している、
部下に任せる時のポイントをお話ししておきましょう。
 
人に何かを任せたいと思うならば「先入後出法」でなければなりません。
「先入後出法」とは、やりたいことを先にやり始めてしまって、
二進も三進もいかなくなったその時、
「エイヤー!」と目をつぶって人に任す、そういう任せ方を指します。
 
逆に「先出後入法」は厳禁です。
「まずこの仕事を彼に任せて、彼ができるようになったらこの仕事を始めよう」で
うまくいく例はありません。
 
「先出後入法」の人は、
「君がこれをできるようになってくれさえすれば、
私はこの仕事に取り組むことができる。頼むよ」
と仕事を任せる。ところがなかなかスムーズには引継ぎができない。
 
1か月、2か月と経ってくるとイライラがつのり、3か月もすると
「もういい。君には失望した。俺がやる!」
などといって、手元に戻してしまいます。
 
なぜこんなことが起こるのでしょうか? 
それは任せた側が暇になってしまうからです。
 
よくよく考えてみれば、自分自身も
その仕事を始めた時はそれほどスムーズには出来なかったはず。
それをすっかり忘れてしまい、
精通している自分と比較してイライラする。
なんだかおかしな話です。
 
「先入後出法」ならば、こんなことは起こりません。
いつも新しい仕事に目一杯で、とてもその仕事に手を出す時間などないからです。
仮にスムーズにいかなかったとしても任せるしかない。
口は出せても手は出せない。だから任せる他にない……。
 
「先出後入法」では、部下に対する信頼と部下の自信、
そして「任せる」と言っておきながら任せ切ることができなかったことによって
部下からの信頼が失われていきます。
 
「先入後出法」ならば、最後まで任せきってくれたあなた自身に対する部下からの信頼と感謝、
そして仕事をやり遂げてくれた部下への信頼と感謝が生まれます。
 
「先入後出法」で、今なすべきことに
精一杯の努力と時間を割きましょう。
 



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ボードメンバープロフィール

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かめい ひでたか

1965年岐阜県生まれ。89年名南コンサルティングネットワーク入社。2001年より取締役。後継者育成や経営計画立案を得意分野とする。愛知近県の後継者を対象にした勉強会を各地で主宰するなど、「事業承継」をライフワークにしている。月刊ニュートップリーダー(L.)連載『事業承継の王道』など、執筆・講演活動も精力的に行なう。

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