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2012年06月26日(火)更新

意思決定する、ということ


千年続く 会社をめざそう㊲
■意思決定する、ということ■

 



経営者の役割が「組織が必要とする役割によって変化する」ことは、
前回お伝えしました。
 
しかし変わらぬ役割もあります。
というよりも、いろんなものを削ぎ落とし、削ぎ落として、
最後に残る唯一無二の役割は「意思決定」することにあります。
これ以外にはないと言っても過言ではありません。
 
ところがときとして、経営者の口から
「決められない」という言葉をお聞きします。
 
その心情は、一人の人間としてとてもよくわかるのですが、
こと経営者となれば、それは役割放棄であり、経営者失格と言わざるを得ません。
 
なぜ「決められない」のか、
「決められない経営者」の口から出てくるその理由は様々です。
しかし真の理由は、そこにはないような気がします。
 
決められないのではなく、決めようとしていない。
いや、もっと積極的に、決めないという意思決定をしている、
そう思えてなりません。
 
今、濁流の中に我が子が流されているとする。
そんな状況の中で「決められない」ことなどあるでしょうか。
何も考えず、上着を脱ぐことさえ気づく間もなく飛び込み、助けようとする。
 
少々極端な例えかもしれませんが、
厳しい経営環境の中での意思決定とは、
本来そのようなものではないかと思うのです。
 
確かに「決める」ことは一定の辛さを伴います。
自分の決めたことです、もし失敗するようなことがあれば責任を取らなければなりません。
また実行にあたっても自ら率先して動かなければなりません。
人が決めたことであればその人のせいにすることもできるでしょうが、
自分の決めたことは誰も責められない。
 
でも、その責を負うことそのものが経営者の役割だと思います。
だからこそ、成功の暁にはそれに倍する喜びも得られる。
 
とにかく決めること、実践することが大切。
間違ったら正せばよい。
その失敗から得られることもまた多いもの。人は失敗からしか学べません。
 
経営者として一番問題なのは意思決定しないこと。
 
「決められない」のではなく、
積極的に「決めようとしていない」ことに気づかなければ前には進めない。
決められない経営者の方には、
まずこの認識が必要だと思います。
 



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2012年06月15日(金)更新

長年の功労者を遇する、ということ


千年続く 会社をめざそう㊱
■長年の功労者を遇する、ということ■



 
経営者の役割は、組織が必要とする役割によって変化します。
企業そのものが変化しているのですから、当然と言えば当然です。
 
たとえば、創業期においては教祖的なリーダーシップが求められるでしょうし、
ある程度成長し、管理者が育ってくればそのまとめ役、
さらに経営幹部が育ってくれば、一歩下がって全体を俯瞰する姿勢も
大切になってきます。
 
一方、求められる人材も企業の発展過程によって変化するのは当然です。
先の経営者の役割に照らせば、創業期においては、
よくも悪くもイエスマン的でないと成り立たないでしょう。
その後は与えられた組織のまとめ役、最終的には経営者の分身として
戦略立案まで担えれば最高です。
 
創業社長でよくみられるのは、
創業当初から頑張ってきてくれた人をそのままNO2にしているケース。
その人が戦略立案まで担える人材であればよいのですが、
少なくないのは悪い意味でのイエスマン。
 
そして求めるものと現実とのギャップを感じ、
口では文句を言いながらもその状態を放置されている。
このようなケースでは社員の不満もたまるばかり。
決してよい状態とはいえません。
 
では、創業以来の功労者であるその人を冷遇すればどうなるか?
昨今では、経営の厳しさを理由に、
それまでの功労者に冷たくあたる傾向もあるようですが、
それでは、若い社員が不安を抱くことになります。
 
繰り返しますが、時代が変われば必要な人材像も変化します。
過去の功労者が今必要な役割を担えるかどうかはわかりません。
しかし、過去の功労者を冷遇することが
組織風土に悪しき影響を与えることは避けられない。
ではどうすればよいのか?
 
好ましい組織風土を実現されている老舗企業を眺めてみた時、
一つの傾向があることに気づきます。
 
それは、報酬と役割の分離です。
ここでいう報酬とは単に経済的報酬を指すものではありません。
精神的報酬をも含みます。
彼がどんなに貢献してきたか、どんな点を見習うべきかなど、
社員からの尊敬を集めるような取り組みが必要です。
 
一方で、現在およびこれからの役割は別で考えなければならない。
その人が持っている長所や能力をじっくり眺め、
それにあった役割を与える。そういう姿勢が大切なのです。
 
過去をどう報い、今後どのような役割を担ってもらうか。
大変難しいテーマであろうかと思いますが、
その対応、その姿勢が社員の安心感と帰属意識を生むのだと思います。



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