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責任をもって育てる、ということ

投稿日時:2012/09/28(金) 10:11rss


千年続く 会社をめざそう㊷
■責任をもって育てる、ということ■


 
 
現在当社では、コンサルティング部門を中心に中途採用を実施しています。
私は平成14年から昨春まで人事・総務の責任者として採用に直接関わってきましたが、
現場の責任者に戻った今、改めてその難しさを痛感しています。
 
総務時代は数多くの失敗をしてきました。
またその失敗を通じて多くのことを学ばせてもいただきました。
その中から、いくつかご紹介させていただきたいと思います。
 
今でも悔やんでいる最大の失敗があります。
 
当社では新卒採用の際、①筆記、②グループディスカッション(以下GD)、
③マネージャー(課長クラス)面接、④配属予定部署の役員面接、
⑤社長(最終)面接というステップを踏みます。
 
第二次選考のGDでその失敗は起こりました。
このGDでは、120名ほどの一次選考通過者を1回あたり30名ほどのグループに分け、
さらにグループごとに5~6チームに分けて一つのテーマでディスカッションを行い、
その時の発言や立居振舞い・担った役割などを
毎回10名ほどのマネージャーが審査員となって見分し、
その結果で通過者を選定します。
 
当時の私は「多数決制」を採用していました。
すなわちマネージャー推薦の数の多さをもって、
二次選考通過者を決定していたのです。
 
2年目のことです。
あるマネージャーが「できれば残して欲しい」という学生がいました。
しかしその他のマネージャーからの推薦はありませんでした。
私は原則に従って、その子に不採用通知を送りました。
 
しかし、どこかで引っ掛かりがあった。そんな時、その子から電話が入って来たのです。
「もう一度チャンスをください」と。
私は「残して欲しい」と言ったマネージャーに連絡を入れました。
彼は大いに喜び、「ぜひ面接させてほしい」と懇願しました。
その後、役員面接、社長面接と進んで、結果は「採用」。
モヤモヤ感を感じながらも、
少しホッとしたというのがその時の素直な気持ちでした。
 
しかし、それだけではすみませんでした。
 
その年の忘年会の、内定者も交えた二次会の席で、
その子が他の内定者に「本当は二次選考で落ちていた。一度捨てられた子」と
話しているのを耳にし、自分が犯した罪の大きさに愕然としました。

その子が今ではその部門のNO2の立場を担っていることを考えると、
なおさら心に刺さった棘が痛みます。
「不要な負い目を背負わせてしまった」と。
 
翌年の二次選考では、審査方法を「スター誕生方式」に変えました。
年配の方であればご存じだと思いますが、
歌手志望の子がステージで歌い、それを見聞きし、
その子を育てたいと思ったプロダクションの代表者が
プラカードを挙げてその意思表示をする、という
古いテレビ番組と同じ方法を採ったのです。
 
具体的には、GD終了後、審査員となったマネージャーに
次のように質問します。
「あなたが責任を持って育てたいと思う人に手を挙げてください」と。
 
この方式に変えて、一つ面白い現象が起こりました。
10名の審査員の殆どが「○」を付けているのに、
「育てたい」人には誰も手を挙げない、ということが結構多く見受けられたのです。
「良い子」と「育てたい子」は、どうも違うようです。
 
「責任を持って人を採用する」姿勢は、
永続企業が等しく持つ一面ではないかと思います。
 
もう一つ、ご紹介したい失敗がありますが、
これは次回に譲りたいと思います。
 



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ボードメンバープロフィール

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かめい ひでたか

1965年岐阜県生まれ。89年名南コンサルティングネットワーク入社。2001年より取締役。後継者育成や経営計画立案を得意分野とする。愛知近県の後継者を対象にした勉強会を各地で主宰するなど、「事業承継」をライフワークにしている。月刊ニュートップリーダー(L.)連載『事業承継の王道』など、執筆・講演活動も精力的に行なう。

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