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部下指導は「できる」から始まる、ということ

投稿日時:2012/12/28(金) 16:13rss


千年続く 会社をめざそう㊺
■部下指導は「できる」から始まる、ということ■

 
 

指導というものは、本当に難しいものです。
一番の難しさは、指導する側が必要だと思っていても、
指導される当の本人がその時点ではその必要性を感じていない、
というところにあるのではないかと思います。
 
先日も、20年前に直属の部下だった者と久しぶりに飲む機会があり、
酔いも手伝ってか、彼が次のようなことを話してくれました。
 
「今だから言えますけど、正直、僕は亀井さんのことが大っ嫌いだった。
亀井さんの言うことはいちいち納得できないし、反発しても正論で言い
返されるから何も言えなくなっちゃうし、言われた通りやってもなかな
か成果は出ないし・・・」
 
一緒にいた今の部下が目を白黒させながら聴いているのをよそ眼に、
その頃どれだけ嫌な思いをしていたかを延々と続けます。
しかし最後に、
 
「でも、あのときの指導があったから今の自分があると、これは自信を
持って言えます。本当に感謝しているんですよ。今だから言えますけど
・・・」
 
ちょっと嬉しかったです。ただ、「もう一回“あの頃の”亀井さんの部下になれと言われたら、
きっぱりと断りますけどね(笑)」の一言は要りませんでしたが・・・。
 
20年以上の歳月が経っていますが、
部下に対する姿勢はそれほど変わってはいないようです。
ただ、以前から比べれば、相手が気持ちよく理解し、納得し、
喜んで動いてくれるような工夫はするようになっているようです。
彼が“あの頃”を強調した理由は、
以前の私にはその工夫が全くなかったからだそうですから。
 
相手が「必要ない」と思っていても、
自分が「この人には必要だ」と思うのならば、
焦らず、じっくりと、相手がその必要性に気付くまで、
穏やかに伝え続ける。
 
部下指導においては、このような姿勢が大切なのだと思います。
そしてその相手への思い遣りが本物ならば、必ず届くのだと・・・
 
「こっちがそういう気持ちで接したって、伝わらない奴には伝わらない」と
達観されている方とよく出会います。
正直申し上げれば、それは逃げであり、
人の上に立つ者としての責任放棄であると思います。
 
「ダメだ」から始まるからダメになる。
「できる」から始めれば、必ずできるようになる。
そういう基本的認識が必要なのだと思うのです。
 
世界の人口70億人の中で私が出会える人はほんのごく僅か。
その僅かな人たちの中の一人が今、誰でもない、私という上司の前に立っている。
 
そのことに思い至れば、我が子と思い、我が弟・妹と思い、
本当に幸せな人生を送って欲しいと心から願って指導することができるようになる。
 
そして、本当に我が子と思い、我が弟・妹と思うことができるようになれば、
できるようになるまで我慢強く付き合っていくことができるようになる。
 
そういうことだと思います。
 
自分の目に映る相手の問題ということよりも、
「自分は今、どのタイプになっているのか?」を
相手という鏡に映った自分に問い掛けてみることが大切なのだと思います。
 
自戒を込めて・・・
 



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ボードメンバープロフィール

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かめい ひでたか

1965年岐阜県生まれ。89年名南コンサルティングネットワーク入社。2001年より取締役。後継者育成や経営計画立案を得意分野とする。愛知近県の後継者を対象にした勉強会を各地で主宰するなど、「事業承継」をライフワークにしている。月刊ニュートップリーダー(L.)連載『事業承継の王道』など、執筆・講演活動も精力的に行なう。

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