名南経営 コンサルタント 亀井英孝の 千年続く 会社をめざそう | 経営者会報 (社長ブログ)
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お客様に寄り添う、ということ
千年続く 会社をめざそう㊶
■お客様に寄り添う、ということ■
先日、営業成績が伸び悩むA君から電話があり、
「どうしたら売れるようになるのでしょうか?」との
質問を受けました。
「売ろうとしていたら売れないよ。得る(うる)のはお客様で、
こちらは買ってもらうの」
「はぁ~」と不満とも不安ともつかない声のあと、
「どうしたら買ってもらえるか、教えてください」というA君に、
私は次のような話をしました。
「恋人がいるとするだろ。その恋人が、思い悩んでいる。そんな
時、どうする? いきなり『こうしたらどう?』なんて言わない
だろ。だって何に悩んでいるか、わからないんだから。だからま
ずは話を聴くよね?『どうしたの?』って」
「そうすると、少しずつ話をし始める。でもたいてい本人も頭の
中が整理されているわけではないから、脈略のない話がいろいろ
出てくる。そんな状態では、こちらもよくわからないから、『そ
れはどういうこと?』『なぜそうなったの?』『本当はどうした
いの?』って、いろんな角度から聴いていくよね。そうすると、
彼女も頭の中がだんだん整理されてくる」
「元々、悩んでいるのは彼女。だから答えはこちらにはなくって、
彼女の中にある。こちらができるのは、彼女の中にある答えを引
き出してあげることだけ。そしてそれを引き出すためには、よい
質問をすること」
「じゃあ、よい質問をするためには、どうしたらよいと思う?
そう、本当に彼女のためを思って、彼女の悩みを解決してあげた
いと心から願って、自分のできる最大限のことをしてあげたいと
念願したら、勝手によい質問ができるものさ」
「そうこうしているうちに、彼女の悩みの原因がはっきりしてく
る。原因さえはっきりすれば、自分がしてあげられることもはっ
きりする。もし今の自分では解決してあげられないのであれば、
どうしたら力になってあげられるかを考え、実践すればよい」
「彼女をお客様に置き換えて、そういう気持ちでお客様に寄り添
っていく。そういう姿勢が大切じゃないかな?」
……と伝える私に、A君は今一つ煮え切らない声でしたが、
「わかりました」と言って電話を切りました。
その声のトーンに、
〈もしかしかしたら、愚痴を聞いて欲しかっただけかもしれない〉と、
A君の本音に寄り添えなかったのかもしれない自分を、
少し反省しました。
いずれにしても、お客様であっても、社員さんであっても、
お客様を親・兄弟や恋人・伴侶、我が子のように寄り添えば、
本人が気づいていなくても、今何が必要かが自ずと見えてくる。
そして、そのとき自分ができる最大限のことをやらせていただく──。
そこに真の信頼関係が生まれるものだと思います。
数日後、「今恋人はいないので、妹だったらと思って接してみました」と
嬉しそうに受注報告をしてくれたA君。
私の反省をよそに、自ら「得る」ことができたようです。
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